Pbレジン
Pbレジンは、Srレジンに使用されているものと同じクラウンエーテル抽出剤を基とした抽出クロマトグラフィーレジンです(Figure 1)。
レジンからPbを剥がしやすくするため、長鎖アルコール希釈剤に溶解した低濃度のクラウンエーテルを含みます。
Figure 2は、Pb 2+、Na+、K+、Tl+の抽出率を示しています。Figure 3は、Pbと代表的なアルカリ土類金属陽イオンの抽出挙動を示しています。Pbの保持に関しては0.1M~10Mの硝酸の範囲にわたって高く(k’ > 100)、カラムからのPb溶出には6~9M塩酸、0.1Mクエン酸鉄アンモニウム、0.05M酢酸アンモニウムまたは他のバッファー溶液を使用できます。
PbレジンからのPbの溶出に脱イオン水を使用することができる場合もあります。ただし、一貫して高いPbの回収率を確保するためには、溶離液として水を使用することは推奨されません。
PbレジンのPb抽出におけるマトリックス成分の影響は、SrレジンによるSr抽出と似ています。Figure 4を見ると、CaやNaは濃度が最大1M であってもPb抽出において、ほとんどないしは全く影響がないことが分かります。
Kの濃度が上がるにつれてPb抽出は低下します。幸い、PbレジンにおけるPbの保持力は十分に高いため、この分析法HP194は、Pb の分配係数k’ 値が100以下にならない1M までのKに用いることができます。
PbレジンによるPb抽出は硝酸において最大になりますが、Pbを塩酸からレジンに充填することも可能です。
Figure 5は、硝酸と塩酸それぞれの場合のPbの抽出曲線の比較です。0.1Mを超えると曲線が分岐し、硝酸の曲線が上回るようになります。1Mまでの塩酸ではまだ十分に保持されますが、この塩酸濃度を超えるとPbの保持率は急に下がります。Vajda氏ら(分析法VN195)は、この挙動に対応する塩酸条件でのSrレジンのPb抽出曲線を公表し、Srレジンが抽出したPbおよびPoを分離するメソッドを発表しました。この方法では6M塩酸でPbを剥がすことができます。同様に、これはPbレジンでも可能なはずです。
Table 1は、0.1M硝酸からPbレジンが回収した様々な元素の溶出挙動を示しています。Pdを除いて、試験したすべての元素がはじめの10フリーカラムボリューム内で定量的に溶出しました。
参考文献
1) Horwitz, E.P.; Gale, N.H.; et al, A Lead-Selective Extraction Chromatographic Resin and Its Application to the Isolation of Lead from Geological Samples, Analytica Chimica Acta, Vol. 292, pp. 263-273(1994).
2) Vajda, N., LaRosa, J., Zeisler, R., Danesi, P., Kis-Benedek, G., A novel technique for the simultaneous determination of 210Pb and 210Po using a crown ether, Journal of Environmental Radioactivity, 37(3), 355-372 (1997).
3) Miura, T., Hayano, K., Nakayama, K. Determination of 210Pb and 210Po in Environmental Samples by Alpha Ray Spectometry Using and Extraction Chromatographic Resin, Analytical Sciences, 15, 23-28 (1999).
取扱仕様
Pb レジン | |||
粒 径 | 容 器 | 入 数 | 商品番号 |
100 ~ 150 µm |
ボトル |
25g |
PB-B25-A |
50g | PB-B50-A | ||
100g | PB-B100-A | ||
200g | PB-B200-A | ||
カラム(2mL) |
20個入 |
PB-C20-A | |
50 ~ 100 µm | ボトル | 25g | PB-B25-S |
50g | PB-B50-S | ||
100g | PB-B100-S | ||
カートリッジ(2mL) | 50個入 | PB-R50-S | |
20 ~ 50 µm | ボトル | 10g | PB-B10-F |