Srレジン
Srレジンは、4,4'(5')-di-t-butylcyclohexano 18-crown-6(クラウンエーテル)を1オクタノールで希釈し、不活性ポリマー支持体をコーティングしています。Srレジンのベッド密度は約0.35g/mLです。
Figure 2~5は、Srレジンに抽出されたストロンチウムのk’値の酸依存性について示しており、様々な他の元素に対する曲線と共にプロットで示しています。Horwitz氏らはSrレジンを使用したバッチ試験の研究データからこれらのデータを報告しました。Eichrom社製品は、同社が公表している分析法を確実に行うための仕様規格を満たしています。
Srレジンによるストロンチウムの回収率は、硝酸の濃度が高くなるにつれて向上します。8M硝酸の場合のSrに対するk’値は約90です。Srのk’値は、0.05M未満の硝酸濃度で1未満まで下がります。記載の硝酸濃度範囲では、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(Figure 2および3)は、Srに比べるとレジンへの親和性が非常に低いことが分かります。アルカリ土類金属の中で、SrレジンはCaに対しての回収率が最も低いです。つまり、CaからSrを比較的簡単に分離できます。Srをその他のアルカリ土類金属イオンからSrを分離するために従来用いられていた方法はとても面倒で、しかも危険な発煙硝酸を用います。Baの保持率はCaやRaより高いですが、Baの抽出率は3M硝酸でピークとなり、それ以上の濃度で下がります。Sr分析でBaを最適に除去するためには、8M硝酸からSrサンプルをレジンに充填します。十分に洗浄することで、Baはカラムから流出し、純度の高いSrのフラクションが残ります。
Figure 4は、Srレジンが高濃度の硝酸において、四価アクチノイドに対して著しく保持力が高いことを示しています。拮抗する錯体であるシュウ酸を加えることで、カラムがアクチノイド元素を抽出するのを防ぐことができます。上記の内容と、選択された元素の溶出挙動についてはTable 1に示されています。
Figure 5は、Srレジンが幅広い硝酸濃度にわたってPb保持率が高いことを示しています。錯化剤を使用しないでSrレジンからPb を除去することは難しいため、Pb を分析するレジンが開発されました。Pbレジンは、Pbを溶出しやすくするために、クラウンエーテルの濃度を低くしています。
Figure 6
Srレジンには、環境サンプルや生体サンプルによく見られる陽イオンの干渉への耐性が見られます。Figure 6は、SrレジンのSr抽出における様々な陽イオンの影響を示しています。Ca とNa は、濃度が0.5M/Lまではほとんど干渉を引き起こしません。牛乳等特定の種類のサンプルで見受けられる高レベルのCa はこの濃度を超えて、Sr 抽出に著しい影響を及ぼす可能性があります。英国核燃料会社(旧Magnox Electric社)で行われた研究で、85Sr のスパイクを8M硝酸から前処理済のSrレジン2mLカラムに充填しました。カラムを8M硝酸で洗浄し、Srを水で溶出しました。Figure 7は、サンプル中に含むCaが85Sr抽出率へ及ぼす影響について示しています。2mLのSrカラムを使用する場合、Ca含有量が320mg までは定量的に抽出されますが、そのレベルを超えると化学収率は減少しました。
Srレジンには、環境サンプルや生体サンプルによく見られる陽イオンの干渉への耐性が見られます。Figure 6は、SrレジンのSr抽出における様々な陽イオンの影響を示しています。Ca とNa は、濃度が0.5M/Lまではほとんど干渉を引き起こしません。牛乳等特定の種類のサンプルで見受けられる高レベルのCa はこの濃度を超えて、Sr 抽出に著しい影響を及ぼす可能性があります。英国核燃料会社(旧Magnox Electric社)で行われた研究で、85Sr のスパイクを8M硝酸から前処理済のSrレジン2mLカラムに充填しました。カラムを8M硝酸で洗浄し、Srを水で溶出しました。Figure 7は、サンプル中に含むCaが85Sr抽出率へ及ぼす影響について示しています。2mLのSrカラムを使用する場合、Ca含有量が320mg までは定量的に抽出されますが、そのレベルを超えると化学収率は減少しました。
Figure 7
注意状況によっては、脱イオン水を使用してSrレジンからSrを回収することができる可能性があります。しかし、Srを安定的に高収率で抽出するために、希硝酸(0.05M/L)を使用してSrレジンからSrを溶出することEichrom社は推奨しています。
Figure 8は、サンプル中のSr含有量の増加が、2mLのSrカラムによる89Srの化学抽出に及ぼす影響を測るためにした同様の実験です。4mgと8mgのSr含有量では化学抽出は定量的ですが、Srの量が多くなると大幅に減少します。
実験的に決定したSrに対するレジンの最大容量は、2mLカラムあたり約12mgです(Horwitz氏ら分析法HP292)。しかし、推奨使用容量は2mLカラムやカートリッジあたり8mgまでのSrとなります。
Figure 8
Figure 6で示すように、Kは比較的低いレベルであってもSrの抽出率を大幅に減少させる原因となります。さらに、さらに、Srフラクションに40Kが含まれていると、90Srの測定において誤計測を引き起こすこともあります。したがって、問題を引き起こす量のKを含むサンプルにおいて、リン酸カルシウムまたはシュウ酸カルシウムを使用したSr沈殿を利用することが、Kによる干渉を抑制する上で推奨されます。
Figure 9では、異なる2種類の粒形のSrレジンにおける溶出分析データの違いを示しています。小さい粒形のレジンの場合、溶出バンドは狭くなります。つまり、クロマトグラフィーのパフォーマンスは向上するが、重力フローは時間がかかり、その結果、分析時間が長くなります。ポリカーボネート真空吸引システム等の真空補助フローを使用することで、より小さい粒径のレジン(20~50µmや50~100µm)の使用が可能になり、重力フローより速い流速でご使用になれます。Eichrom社製バキュームボックスシステムと併用するためにSr充填済カートリッジ(50~100µm)のご用意があります。
取扱仕様
Sr レジン | |||
粒 径 | 容 器 | 入 数 | 商品番号 |
100 ~ 150 µm |
ボトル |
25g |
SR-B25-A |
50g | SR-B50-A | ||
100g | SR-B100-A | ||
200g | SR-B200-A | ||
カラム(2mL) |
50個入 |
SR-C20-A | |
カラム(5mL) | 20個入 | SR5-C20-A | |
50 ~ 100 µm | ボトル | 25g | SR-B25-S |
50g | SR-B50-S | ||
100g | SR-B100-S | ||
カートリッジ(1mL) | 50個入 | SR1ML-R50-S | |
カートリッジ(2mL) | 50個入 | SR-R50-S | |
20 ~ 50 µm | ボトル | 10g | SR-B10-F |
4,4’(5’) di (t-butylcyclohexano)
18-crown-6
|
ボトル | 10g | SR-SX-B10 |