Tritiumカラム
Tritiumカラムは、水サンプル中の3H分析に最もよく使われている蒸留法に代わるものとして考案されました。このカラムを使用することで、液体シンチレーションカウンターによる3Hスペクトル測定において潜在的干渉物となり得る金属イオンを除去することができます。これは、濃縮操作のために使われるのではなく、Tritiumカラムを通して処理された5~10mL のサンプル(+カクテル剤)を直接測定し、必要な検出限界が達成される状況においてのみご使用ください。
表1は、Tritiumカラムの内容物を示し、下の表1は各構成成分の役割とその容量を示しています。Diphonix®レジンは、水素イオンと交換に陽イオンを取り除き、理論上の最大容量はカラムあたり0.8meqになります。陰イオン交換レジンはCl型で分析グレードの1×8のレジンです。このレジンは、サンプル中の陰イオンを塩化物イオンと交換します(サンプルはpH1より大きいことが推奨されます)。ポリメタクリレートレジンは、LSCカクテル内でクウェンチングを引き起こす可能性のある有機結合型3H、14Cおよびその他の有機物を取り除きます。
表2は、Tritiumカラムを通した時の様々な種類のサンプルマトリックスの平均スパイク収率を示しています。
このカラムは、潜在的に放射線の干渉を引き起こす核種を取り除きます。Eichrom社で行われた実験では、放射性核種混合溶液(60Co、137Cs、233U、90Sr/ 90Y、210Pb、230Th、全放射能量は16.9Bq)を、3Hスパイク溶液(蒸留水と海水サンプル)8種類に付加しました。どの場合においても、サンプルがTritiumカラムを通過した後は、3Hウィンドウより上の範囲におけるカウント数は、スパイクしないサンプルのものと変わりませんでした(表3)。
Carolina Power & Light社のDaniel Cahill氏による別の研究では、Tritiumカラムを通過する前後のPWRおよびBWR原子炉冷却材サンプル内における核分裂生成物と放射化生成物の放射能を測定しました。表4は、カラムを通過する前の各サンプルの放射能をまとめたものです。カラムを通過した後のBWRサンプルからは測定可能な放射能は検出されず、>50% の計数誤差で微量の60CoがPWRサンプルから検出されました。60Coの測定値はかなり低く、計数誤差はかなり大きかったこと、また、BWRサンプルではカラム通過前は10倍以上の60Coを含むのに対し、カラム通過後はまったく60Coを含まなかったことを考慮すると、PWRサンプル内で微量の60Coが検出されたことは、ガンマカウンターのバックグラウンドの機械的なエラーに起因すると考えられます。
Tritiumカラムの性能に関する追加情報については、Eichrom社のニュースレターアーカイブをご覧ください。このページやEichromウェブサイト内で紹介している研究は、同社および同社製品ユーザーの研究室で行われたものであり、Tritiumカラムが従来の蒸留法と同等に機能するものであるということを示しています。水溶性3Hサンプルの蒸留法の代替手段として、このTritiumカラムを一度ご使用されることを推奨します。
取扱仕様
Tritium カラム |
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粒 径 | 容 器 | 入 数 | 商品番号 |
75 ~ 150 µm |
カラム(2mL) |
50個入 | H3-C50-A |