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Eichrom社の分析用製品の中で、万能と言えるものの1つがTEVA®レジンです。Tcの分析や四価アクチノイドの測定、ランタノイドからAmの分離等に日常的に用いられています。単独での使用や、他のレジンと容易に組み合わせて使用できるため、より複雑なサンプルの分離を行うことができます。

 

 

TEVA®レジンの活性成分は、脂肪族第4級アミンです(Figure 1)。それ自体は典型的な強塩基陰イオン交換レジンと似た特性を有しています。しかし、官能基が液状であるため、ポリマー骨格(イオン交換レジンと同様に)に結合するよりも、液体の陰イオン交換体が目的となる陰イオンの周辺で配位するための高い柔軟性を保持します。結果として、TEVA®レジンでは陰イオンの抽出率が一般的に高くなり、分離を達成するために低濃度の酸がよく使用されます。

Figure 2と3は、TEVA®レジンが硝酸および塩酸から選択した金属イオンの抽出率について示しています。四価のPu、Np、Thの場合は、2M~4M硝酸の範囲で抽出率が最大となります。この酸濃度の範囲において、U(Ⅵ)とAm(Ⅲ)は十分に保持されません。そのため、TEVA®レジンは四価イオンを他のアクチノイドから容易に分離することができます。この選択性によって、TEVA®レジンは複数のレジンを積み重ねて使用するタンデム分離メソッドの最初のレジンとして、よく使用されます。

 

 

2~4M以上の硝酸濃度で四価アクチノイドのk’値が減少する理由は、レジンの錯体形成部位における硝酸イオンとの拮抗によるものです。

硝酸と塩酸の抽出曲線の違いを利用すると、特定のアクチノイドを互いから分離することができます。例えば、すべての四価アクチノイドを3M硝酸から充填したとします。6~9M塩酸に置き換えることによって、Th(IV)をTEVAから選択的に溶出できますが、Pu(IV)とNp(IV)はカラムに残ります。その後、適切な還元剤、錯化剤、酸濃度を用いることで、PuとNpを同時、または別々に抽出することができます。

 

Figure 2と3は、Tc(Ⅶ)つまり過テクネチウム酸の保持について示しています。TEVA®レジンは希硝酸や希塩酸溶液中で強力に過テクネチウム酸を保持し、その後8~10M硝酸を使用してTcをTEVAから抽出することができます。8~10M硝酸を使用した溶出が向かないTc分析には、Eichrom社のWBEC(weak base EXCレジン)が代わりに使用できる可能性があります。WBECレジンは酸性溶液からプロトン化されたときのみ陰イオン交換体として機能するため、Tcは1M水酸化アンモニウムのようなアルカリ性溶液を使用してWBECレジンから抽出することができます。

 

Tcの分析におけるTEVA®レジンの使用は、業界標準となっています。TEVA®レジンは、Tc分析に使用するときに、200mL/minまでの流速に対応できるようにディスク形状でも販売しています。Tcをディスク上へ流した後、ディスクを洗浄、乾燥させて、シンチレーションカクテル剤に直接付加します。

 

TEVA®レジンのTcの抽出率は、Figure 2と3にはありませんが、アルカリ溶液からでも高くなります。オークリッジ国立研究所のK-25にあるDarrin Mann氏の研究室は、アルカリ性溶液や中和後の酸を含む様々なマトリックスから99Tc を単離させるためにTEVA®レジンが使用できることを実証しました(Eichrom分析法MA193)。

 

Horwitz氏らは、TEVA®レジンの実験バッチを使用した研究から、Figure 2と3のデータを報告しました。Eichrom社の販売している製品は、同社が公表する分析法において適切なパフォーマンスを保証する確立した仕様に準拠しています。

 

Figure 4は、TEVA®レジンを用いた5M硝酸溶液からのNp抽出における、サンプルに含まれるU(Ⅵ) とTh(Ⅳ)量の影響について示したものです。Th(Ⅳ)の影響が顕著かつ直線的である一方で、U(Ⅵ)は濃度が0.05Mに達するまでは、Np保持に対してそれほど悪影響を及ぼしません。この濃度は充填サンプル溶液量15mLに対して、約180mgのU(Ⅵ)が含まれることに相当します。

 

Figure 5は、TEVA®レジンを用いた2M硝酸からのNp(Ⅳ)抽出における様々な多原子陰イオンのマトリックスの影響です。シュウ酸塩はNp抽出において最も強く影響することが分かります。シュウ酸は四価アクチノイドと容易に錯形成され、これらの複合体はTEVA®レジンによって抽出されません。シュウ酸はTEVA®レジンから四価アクチノイドを剥がす溶離液としてよく使用されます。

 

リン酸塩は、基本的に様々なサンプルマトリックスに含まれています。すべての四価アクチノイド(Pu、Th、Np)に対するリン酸塩の影響は似ていますが、Th はTEVA®レジンによって最も保持されにくいため、サンプルに含まれる高濃度のリン酸塩の影響を最も受けやすくなります。充填サンプル溶液にAlを加えることで、この影響は低減します。リン酸塩はAlを優先的に複合するので、四価アクチノイドは抽出可能なニトラト錯体を自由に形成します。

 

Figure 6は、陰イオンマトリックスの干渉に対する別の解決策に関するものです。シュウ酸塩の場合、充填サンプル溶液の硝酸濃度を2M から3.5M に増加させると、Np(Ⅳ)の抽出が一桁以上向上します。

 

 

Figure 7は、TEVA®レジンを用いてNpからPuを分離した例です。Pu(Ⅳ)を選択的にPu(Ⅲ)に還元することによってこの分離を行うことができます。この価数でPuは、どの濃度の硝酸または塩酸下でも保持されないAmと同様の挙動を示します。Figure 7の例では、Puはヒドロキノンによって還元されていますが、ヨウ化アンモニウムやスルファミン酸鉄のような試薬が使用されることもあります。

TEVA®レジンは、希土類元素からのAmの分離にも有効です。Figure 8は、希土類元素が1.0Mチオシアン酸アンモニウムと0.1Mギ酸を含む導入サンプル溶液によって群分離されることを示しています。Amはこの状況下で保持され、塩酸を用いて後から溶出することが可能です。Figure 8ではAmの溶出に0.25M塩酸を使用していますが、2M塩酸を使用するとより効果的で再現性も高い状態で、チオシアン酸塩から充填後にTEVA®レジンからAmを回収できることが後でわかりました。ステップごとのアクチノイド/希土類元素の一通りの分離メソッドは、Eichrom分析法SPA03およびSPA03VBSをご参照ください。

 

参考文献

Horwitz, E.P., Dietz, M.L., Chiarizia, R., Diamond, H., Maxwell III, S.L., and Nelson, M., “Separation and preconcentration of actinides by extraction chromatography using a supported liquid anion exchanger: Application to the characterization of high-level nuclear waste solutions,” Analytica Chimica Acta, 310 (1995) 63-78. (HP195)

 

取扱仕様

TEVA®レジン
粒 径 容 器 入 数 商品番号

100 ~ 150 µm

ボトル

25g

TE-B25-A  

50g TE-B50-A
100g TE-B100-A
200g TE-B200-A
カラム(2mL)

50個入

TE-C50-A
50 ~ 100 µm ボトル 25g TE-B25-S
50g TE-B50-S
100g TE-B100-S
200g TE-B200-S
カートリッジ(1mL) 50個入 TE1ML-R50-S
カートリッジ(2mL) 50個入 TE-R50-S
20 ~ 50 µm ボトル 10g TE-B10-F
ディスク 50枚入 TE-D50-F

 

TEL:03-3862-2700(代表)

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